RFID(自動認識)は人によって印象は違うと思うが、かれこれ20年くらい前から期待され続けてきた。所謂、ICタグと、そのICタグ情報を読み取る装置を世の中に広めていき産業や、人々の生活を効率的にしようというものだ。
現状況 ー実態ー
一見、自動認識とか聞くと夢があって発展しそうに感じるが、この業界で現在成功しているのは、アパレル店(国内ならユニクロ、GU等)のレジ無人化くらいだろう。 これも企業の譲歩的方策があっての話しだ。背景理由として、ICタグを読み取る装置は完全ではなく、ICタグの情報を読めない時があるからだ。 要するに、お客が服を何着か買おうと、レジボックスに入れて計算ボタンを押しても、計算漏れが生じる。例えば本当は三千円のところ、2千5百円の支払い請求で済まされる場合も最悪は発生するということだ。 しかし、アパレル小売り店側はレジ打ち担当を常時雇用するよりは、ICタグの読み漏れによる損益の方が圧倒的に少ないので、レジ打ち担当(人件費)を削って、ICタグと読み取り機をレジに導入するという方策で多くの利益が出ている。
アパレル以外だと、スーパー、コンビニなどの小売り商売もあるが、服と違って商品の大きさがマチマチであり、ICタグなんて付けられない商品もあるし、食品など莫大な品数なので毎回ICタグを付ける労力、人も雇える訳ではないので、結局は商品に印字したバーコードをバーコードリーダーでレジ打ち担当が読み取って精算をするか、セルフレジにて客自身にやらせるかの方が理にかなっている。
進化系
産業展示会などに行けば、昨今は出展継続されているのだが、電波による自動認識のみならず、カメラによる自動認識、赤外線通信による自動認識装置というのもある。 特にカメラを使った自動認識はICタグを付けなくて良いので最も効率的で良いのだが、角度や死角の関係もあって、商品の認識漏れもあるのと、高性能認識カメラの値段が高価過ぎるようで、RFID設置料金の5倍から10倍とかするので、費用対効果面で、店側は現実的に導入できない。 導入時に初期投資に何億も掛かってしまえば、それだけで数代に渡る借金負債になり投資回収が不可能だからだ。
自動認識装置の将来展望
いままで書いた通り、汎用性が高くない原因もあって、この系統の機器類を大手電気メーカーやその子会社が凌ぎを削って販売することは少ない。 世界的に視ても数社だけ販売という寡占市場になっている。 国内では経済産業省も市場実験などで定期的に試して装置の普及、産業拡大実験を試しているが、思うようには広まらない。 ただ、企業内の工場や物の管理という小規模な現場では重宝されているケースもあり、RFIDを糧に商品販売している販売店等は、こういった企業内や一定スペース内での管理に使われる為に供給するケースが多い。 始めに記載した通り、アパレル小売りレジでのRFIDの普及は今後も伸びていくことだろうが、他の産業や、応用として世の中に広げていく為には、RFIDの性能がイマイチ過ぎるため、現機器類でのこれ以上の発展は厳しいであろう。 カメラ認識装置の進化と安値化や、また別の革新的自動認識技術が生まれてくるまでは国内は元より全世界的への装置普及は難しいと言える。
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